映画とか本とかの感想をぺちゃぺちゃ書いておくところです
比類なきジーヴス
2008-03-20 Thu
The Inimitable Jeeves
P・G・ウッドハウス 著
イギリス
森村たまき 訳
国書刊行会

シリーズ次作:『よしきた、ジーヴス』

イギリス・ロンドンで気ままに生活しているバーティー。平和で穏やかな日々を願う彼だが、悪友ビンゴや従兄弟のクロードとユースタス、恐怖の権化アガサ伯母さん等珍奇な人々に囲まれ、いつの間にか騒動の中心にいることもしばしば。窮地に立たされたバーティーを救うのはいつもジーヴス、彼に仕える超有能執事である。


本国イギリスではホームズ&ワトソンに並ぶ名コンビがこのジーヴス&バーティーなんだそうです。
構図はホームズというよりドラえもん&のび太に近いけど(笑)
バーティーが困ってジーヴスが助ける、という上に述べたあらすじ通りのことのひたすら繰り返し。
愛すべき安らぎのマンネリ。

とんにかく文がくっどーい!
いかにも海外小説、翻訳文、という感じがします。どうやら訳のせいだけではないらしく、原文そのものが饒舌みたい。
要約すれば相当短くなる事柄が長ったらしく記してあります。
話自体は難しくないのに、読むのに妙に時間がかかる。
でもそこが魅力でもあるようです。


絶対ジーヴスが助けてくれるんだろうとはわかっていても、凡人にはどう助けるかが全然わからなくて、ええジーヴスはどうするの!?と次々ページを繰ってしまいます。
ジーヴス、すてきだ。。
彼を四文字熟語で表現するとすれば、冷静沈着・頭脳明晰・慇懃無礼
主人に対して完璧な助力をしておきながら、恋人やお金とちゃっかり自分のことにも抜け目なく(Chap.2のラストは衝撃的だ!)、そしてバーティーを全く敬ってなさそうwなところがいいです。
タメ語を話すシーンとかこれから出てこないかな。ちょっとドキドキすると思うんだ(←バカ)

バーティーはアホの子ですが、まあ切れ者には見えませんが、周りがひどすぎるのでアホというよりはなんだか気の毒な人だなあという印象。最後なんか特に。
ジーヴスを素直に自分より優れていると認めてぽややんとしているのは美徳でもあり気の毒でもあり。
そしてファッションセンスもどうやら気の毒な感じで…
ここで一歩も退かないジーヴス、我を通そうとする(けど結局負ける)バーティーの対立が大変おもろい。
電車の中で何度ニヤニヤしたことか!

ビンゴ、クロード&ユースタスに関しては、なんだかんだ面倒見てるバーティーもすごいしここまで厚顔無恥なのもすごい。
たまに本気でイラつきつつ読んでたよ。
ユーモアセンスが足りませんな…


こんな感じで話が面白かったというよりキャラ萌え(…)で読んでたような気も否めないのが正直なところでありますが、どんどん次持ってきて!と読みたくなります。
再読気分にはあまりならないけど、ざかざか。
ストーリーに関してはきっとイギリスユーモアを完全には理解できないていうのもあるんだろうな。
うーん、ボーダーを感じなくもない。

ところで今回これを読んだのは漫画化されると聞いたからなんですけど、これやばいっすね。
おまぬけコメディ×イギリス×やや時代物×勝田文…おいしすぎるよ!
雑誌を買う誘惑に毎日襲われてるんですけど単行本出るまでなんとか我慢です。
隔月の雑誌らしいので出るのにまだまだかかるよね。
早く出ますように。それ以前の問題として打ち切られませんように。
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ドリアン・グレイの肖像
2007-06-15 Fri
The Picture of Dorian Gray
オスカー・ワイルド 著
イギリス
福田恆存 訳
新潮社

美青年ドリアン・グレイは画家バジルのもとでモデルを務めていた際、ヘンリー卿と出会う。皮肉と逆説に満ちた快楽主義者の卿に魅了され、ドリアンもまた享楽の世界へと身を落としていった。しかし罪悪に手を染めるほど、バジルより贈られた彼の肖像画もまた刻々とその姿を変えてゆく…


こっこわかった〜。ホラーだよ!

ヘンリー卿の逆説はとても面白いと思った。
「誘惑を除きさる方法はただひとつ、誘惑に負けてしまうことだけだ」(p43)
をはじめとして、ほんっとーうにウィットに富みすぎてるんだけど、「ああ、一理あるかも…」とちょっと思ってしまうことを、よくもまあこうスラスラと。
確かに社交界ではおもてになりそうね。実際に身近にいてほしくないですけど。
壮年期はともかく何十年も言い続けてほしくないですけど。こんなことばっか言ってるおじいちゃんやだよ!
あ、『理想の女』のコピーはこの本が元ネタだったんですね〜。

ドリアンを堕落に至らしめた本が実在することを読み終わった後で知りました。
気にはなるけど…読むの怖いねw
積読が相当たまってるのでどっちにしろまだ先ですが、少なくとも本に毒されない程度に大人になってからにしようと思います。

そう考えるとドリアンは相当なガキですよね〜。
年若いとはいえハタチなんだから わるいおとなの においぐらい かぎわけなさい!


冒頭のノリがホモくさくてなんだかなあ、と思ったけど気のせいじゃないぽいですね。
しょうがないんですかね。


以下ネタバレしながらちょっとしゃべるあるよ
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エリザベス
2007-01-12 Fri
Elizabeth
トム・マクレガー 著
イギリス
野口百合子 訳
新潮社

映画:『エリザベス』

3歳の時に母が処刑され、21歳の時には反逆罪の疑いで身柄を拘束される。イングランド王女という身分ゆえ常に渦巻く陰謀と計略に巻き込まれてきたエリザベス。数奇な運命をたどりつつも王座を手にした彼女だが、それは終わりではなくすべての始まりであった。


最近電車で寝てるばっかりで全然本読んでませんでした…
そんな感じで記憶飛び飛びの駄目読書期間を経て読了。

映画を前から観てみたかったんですけどね、英語に暗い私はとても不安だったのです。
(理由はここらへんから適当なページとんではははんと思っていただければ幸い)
だからノベライズを見つけて、訳者が御大ではなくて、嬉しくて即買い(Bックオフだけど)して読んでみたんです。

裏切られた!!

なんというか映画でやっちまったらしい箇所が見事に踏襲されてる雰囲気です。
あれ実はなっち正しかったの??
頭の中はクエスチョンマークと驚愕と憤慨でいっぱい。
なんのために映画避けてたんだ…がっくし。


わかってもらいにくいがっくり感に隠れてネタバレしつつ本編感想スタート。
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リア王
2006-10-27 Fri
King Lear
ウィリアム・シェイクスピア 著
イギリス
福田恆存 訳
新潮社

ブリテン王リアは高齢のため退位するにあたって、娘3人に己に対する胸のうちを語らせる。甘言でリアを喜ばせる姉2人に対し、末娘コーディリアは率直な物言いをし彼を激怒させ、勘当同然の身でフランス王のもとへ嫁いでいった。姉2人に頼り余生を送ろうとするリアだが娘たちからの裏切りに遭い、怒り苦しみ、悔いながら破滅へと向かってゆく。


「お父様をお慕いする気持ちは、とても言葉では尽くせませぬ」(p12)という姉の言葉と
「心のうちを口に出す事が出来ませぬ。確かに父君をお慕い申し上げております」(p13)というコーディリアの言葉。
たいした違いないように思えるんですけど…
どんなにフォローされてもやっぱり「王がバカなんじゃん」と思わずにはいられません…

『マクベス』は燃え上がる野心とかそれでも消えないチキン心とかは、私なりにわかるつもりなんですが、こっちは無理やり感否めない。
姉たちの腹のうちは探れなくても、コーディリアの真心ぐらいくめないのかいとどうしても思ってしまいます。

それでもたたみかけるようなラストはマクベスより好きかな。
自分の愚かさを悔いながら、コーディリアに詫びながらの王の最期は壮絶で、素直に圧倒されました。

ただ王本人や姉2人はともかく、コーディリアやグロスター伯爵はかわいそうだ…(ノд`)つらい。
勧善懲悪というか因果応報が好みなので…


しっかしいくら誠実でも表に出さないと伝わらないもんだね。
そのへんはコーディリアも愚かだね。
それでも王のあの対応はどうかと(無限ループ)

道化の存在がかなりこの作品に何か深みを与えているらしいんですが、私にはさっっぱりわかりませんでしたよ…

 「リア王のあの振る舞いは認知症の症例」
 →姉たちのようになだめすかす対応がよろしく(裏切りは別として)
  コーディリアのように諫めるのはNG
という説?を見ましたWikipediaあたりで。おもしろいなあ。


ぜひ舞台を観てみたいと思いました。
難しいらしいんだけどね。ラストを肌で感じてみたい。
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マクベス
2006-10-17 Tue
Macbeth
ウィリアム・シェイクスピア 著
イギリス
福田恆存 訳
新潮社

スコットランドの武将マクベスは三人の魔女より「いずれ王になられるお方」と預言を受ける。彼の武勇を称えながらも我が子に王位を譲る国王ダンカンの発言に預言の実現を危ぶむマクベスは王をその手に掛ける。その日から彼の亡霊・寝返りに怯える日々が始まる…


無理矢理預言を事実にしてしまう、もはや預言が預言でない状態は
『源氏物語』の明石中宮のくだりを思い出しました。
振り回されてる…

でも預言という形で約束されていないと行動を起こせない弱さ。
解説の「義務であるかのように」という表現はわかりやすいなあ。

王位を望んではいるくせに手を下す勇気はない。
そして王を殺害した後の後悔は良心の呵責というよりは復讐への怖れ。

最悪だ…(´д`)
まあそれを責められるほど出来た人間ではありませんが。
むしろとっても人間臭くて、そこが魅力でもあるし近親憎悪的なものも感じる。

過分な願いは不幸の元と知れ って偶然読んでる新聞の運勢欄に発見しまして、ああなるほどって。


身につまされるというほどではないんだけど、なんだかむむむと考えてしまう。


それにしても「女から生まれた人間」云々のとんちはいまいち理解できませんでした。
“股”とか付いてたら別だけど原語にも付いてない…?

以下微妙なネタバレを含みますよ。
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