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それゆけ、ジーヴス

►2008/04/24 

Carry On, Jeeves
P・G・ウッドハウス 著
イギリス
森村たまき 訳
国書刊行会

シリーズ前作:『よしきた、ジーヴス』

二日酔いに苦しむバーティーの前に現れた新しい執事・ジーヴス。彼のとある発明に感銘を受けたバーティーは、即座に彼の雇用を決定する。この時バーティーは横顔の美しいフローレンス・クレイと婚約中であった――「ジーヴス登場」を含む短編全10編。


いやあ、面白かった。
長編より短編のが好きだな。
たくさんの事件と解決が詰まっててお得感。

3冊目にしてじわじわ中毒づいてきたようです。
ヘンテコな訳文含め病み付きになってる…!
“名残惜しさを感じながら読む”ことは今までにもあったけど、“出来るだけ進まないよう読む”経験ってもしかして初めてなんじゃないかしら。

とにかく、とにかく、

ジーヴス、黒!!


以下はネタバレ含んでなっげえです



まずはジーヴスの初登場。
初仕事がご主人様の婚約破棄だなんて!
なんてミラクルな執事なのかしら。

そして前から気になっていたのがジーヴスのおめざ。どんなんよ。
バーティーの表現だと魅力的ではありますが、あまり健康によくなさそう。
一時の爽快感と引き換えに少しずつ寿命をすり減らしていそうな…
初めて入った家でいきなり作れるということは、そんなに珍しい材料は使ってないんだろう。それとも持ち歩いてるのか?


2〜9章もいちいちおかしかったです。
醜悪な赤子の肖像とか、歩けばウースター氏にぶつかるサー・グロソップとか。
あとがきでサー・グロソップはバーティーと仲良しになるとありましたのでその辺これからも楽しみ。
ていうかあとがきにそんなネタバレ書いていいんでしょうか(笑)
ジーヴスの策が個人的に一番痛快だったのは、「ジーヴスと招かれざる客」。悪い奴だなあ。

ジーヴスどんだけ親戚いるんだよとは思いましたがいいよもう世界各地にちらばっていなさいよ。
姪のこと、可愛がってる(少なくとも同情するほどには)けど美の殿堂で働くのはいいんですか…
自分の名前も忘れるアパパ卿に嫁入りするのはいいんですか…お金持ちだから愛し合ってるから、いいんですか。


そしてこのあたりで、気が付けばバートラム・ウースター氏がいとおしくてたまらなくなっていました。
今までジーヴスのいろいろな意味でお素敵なところばかり目が行ってたけども。
不憫な坊ちゃん。
でも不憫じゃないバーティーなんてバーティーじゃないよね!とにやにやが止まらない。

「僕は自分が、大まかに言って通常人が持つべき脳みその半分くらいしか持っちゃいないってことを完全によく理解してる。
それで普通人の容量の2倍くらい脳みそのある女の子がやってくると、そいつはあまりにしばしば目に恋の炎を燃やしながら僕のところに直進してくるんだ」
(p229)
…もう爆笑。これを直進されてゲンナリしながら真剣に言うんだもの。
これだけ自覚してて明るく生きられるあなたは輝いていますと言いたい。
そしてこれに対するジーヴスの答えが「種のバランスを維持せんとする大自然の采配かと拝察いたします」(p230)なのも、バーティーの脳みそへのフォローが皆無で素晴らしいです。

絶好調のファッションセンスに加えて、口髭を生やしてみたり養子が欲しいと言い出してみたりとほんと愛すべきお人です。
髭、 絶 対 似合わなそう。


それでも今回はジーヴス、1・2に比べてあまりひどいことしてないなあ…と思っていたらやってくれたよ第10章「バーティー考えを改める」!
なんてドSなの!
「雇用主は調教馬のごとし」「雇用主に脳みそは不要」素敵な語録がばんばん飛び出しているよ。
彼はご主人様の絶望された姿を見て心とろけそうになるということです…なんて危ない人なんだ。
そのくせ心がとろけるその瞬間だって無表情なんだろうな。
「最悪の試練」「痛々しい」お前が仕向けといてw
「これはまさしく見逃したらば後悔いたすような経験でございました。
ウースター様は、一言で申し上げれば、疑問の余地なく、ご自分の限界を超克し、更なる高みへと上られたのでございます」
(p340)
あまりの黒さにぞくぞくします。

バーティーも変な人に好かれたものだ。
でもそんな彼がいないと何も出来ないんだよね。
タイまで結んでもらうもんなんだね。いやはや。
これでバーティーが女子校演説のことをよしきた〜であんなに忌まわしげに言っていたのかがわかりました。ありゃトラウマになるわ。
なんだかもう、この箇所思い出すだけで心に春風が吹きます。つらいことも頑張ります(笑)

ところで、この章では私がかねてよりさりげなく望んでいた“タメ語ジーヴス”が見られるのです。
うはうはですが、ここよりむしろ「きわめて不快でございますな、旦那様!」(p155)の方が、彼にしては怒りをストレートに表現しててキュンとしました(M?)


話は全然変わりますが、ジーヴスの「はい?ご主人様」てセリフを読むと『相棒』の右京さんを思い出してならない。
ちょっと年は上だろうけど、イメージはいいところいってる気がします。チェス好き紅茶好きっていうし。
あと、今回はジーヴスが比較的表情豊かだし、外見の描写も入っていますね。
「突き出した後頭部」をやっと確認できてよかった。

無駄に長くて引用多くてテンション変ですいません。


(追記)
あたいジーヴスってファーストネームだと思ってたよ…あんれまあ…なんででしょ。
そうかだから Jeeves & Wooster シリーズなのか…
レジナルドさんとおっしゃるそうです。
Reginaldはリーダーズによると wise dominion から派生したそうでうけました。はまりすぎ。
そして発音記号によるとJeevesはジーヴズが正しそうだね。
以上、仕入れたての豆知識でした。
でももうJeevesじゃなくてJeeveSって書くべきだよね。


(080607追記(しすぎ))
ドラマ版のジーヴス初登場が素敵だったので自分用に貼っておきます

やっぱり、身体に悪そうだ。

テーマ : 海外小説・翻訳本 - ジャンル : 小説・文学

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