いまの世の中で、一ばん美しいのは犠牲者です。(p202)
終戦、昭和20年。没落華族であるかず子の家は当主を失ったこともあり困窮していた。東京の家を売り払い、母と共に伊豆にやってきたかず子は、そこで慎ましく生活を始める。ある日、かず子は戦地で行方不明になっていた弟の直治が生きていたこと、じきに伊豆へやってくること、そして彼が阿片中毒に陥ってることを知らされる。